エキセントリック・コンセントリックといった言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
収縮様式と呼ばれるものですが、理解しにくいと感じる方が多いと思います。
特にエキセントリックは日本語で「伸張性収縮」と呼ばれており、1つ言葉の中に一見対になる
ような単語が含まれているのでイメージしづらいです。
筋トレではモーメントやせん断力といった物理用語がよく使われまして、理解の助けになることがよくあります。
そこで今回は収縮様式について、筋肉の物理的な特徴と簡単な物理法則を使って説明してみようと思います。
使用する物理法則
今回使用するのはニュートンの運動の法則とフックの法則です。
ニュートンの運動の法則
- 慣性の法則
質点は力が作用、もしくは釣り合っている限り静止または等速直線運動する - 運動方程式
- 作用反作用の法則
ですね。
フックの法則
- 荷重はバネ定数と伸びに正比例すると近似できる
ですね。
もう少し分解しますと、軸剛性kは以下のようになっています。
Eはヤング係数といって、物体の固さを表す値です。
Aは断面積、Lは部材長さ(基準長さ)です。
つまり断面積が大きくなると抵抗力が大きくなる一方、部材長さが長くなると抵抗力が小さくなります。
筋肉の物理的な特徴
筋肉にはゴムやバネに例えられますが、異なる点がいくつかあります。
それは
- 収縮時にのみ力を発揮すること
- 稼働域内で基準長さを変更可能であること
- 固さを調整可能であること
です。
収縮時にのみ力を発揮
ゴムは押しつぶすとそれに反発するように力を発生させます。
しかし、筋肉は押しつぶしても反発することはありません。
筋肉は引っ張られることで抵抗する形で張力を発生させます。
稼働域内で基準長さを変更可能
筋肉は伸ばしたら伸ばした位置、曲げたら曲げた位置をゼロ位置として、収縮動作ができます。
もし基準長さLが固定されていたら、そこから曲げた位置では力を発揮できません。
また、伸ばしたら伸ばしただけワンピースのルフィよろしく張力が発生することになります。
筋肉の基準長さを変更できると考えると容易に理解できます。
ミクロには各筋節におけるミオシンとアクチンの重なり程度でこの特徴を表現しています。
固さを調整可能
力の入れ方を調整することで、筋肉を固くすることも柔らかくすることもできるます。
見落としがちですが、これもゴムとは異なる点です。
ミクロには各筋節におけるミオシンとアクチンの結合程度でこの特徴を表現しています。
筋肉の簡単な物理モデル
ゴムと筋肉の物理モデルを整理すると以下のようになります。
違いを理解できるかと思います。
続きはこちら。このモデルを使って収縮様式を説明していきます。
筋肉に関して網羅的に理解したい場合は、石井先生の本をいくつか読むと良いと思います。

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筋節の動きについてはあまり理解していなくて今回調べたのですが、これが非常にわかりやすかったです。