(2021/04/04 少し修正しました)
こんにちは、きっちゃん(@I_am_Entraineer)です。
エキセントリック・コンセントリックといった言葉を聞いたことがある方は多いと思います。収縮様式と呼ばれるものですが、理解しにくいと感じる方が多いと思います。
特にエキセントリックは日本語で「伸張性収縮」と呼ばれており、1つ言葉の中に一見対になるような単語が含まれているのでイメージしづらいです。
ウエイトトレーニングではモーメントやせん断力といった物理用語がよく使われていて、理解の助けになることがよくあります。そこで今回は収縮様式について、筋肉の特徴を簡単な物理法則を使って捉えてみたいと思います。
2021/04/04の修正で、単純な物理法則だけで筋肉の動きを表現するのはかなり無理があるなと思いました。
とはいえ、本記事の目的は「筋肉の動きについて理解を深める」ことにあります。
物理的、生理学的な不正確さが含まれているとは思うのですが、何かの考えるヒントにはなるかと思いますので、そのまま残しておこうと思います。
読まれる際にはその点ご注意ください。
使用する物理法則
今回使用するのはニュートンの運動の法則とフックの法則です。
ニュートンの運動の法則
- 慣性の法則
質点は力が作用、もしくは釣り合っている限り静止または等速直線運動する - 運動方程式
- 作用反作用の法則
ですね。
フックの法則
- 荷重はバネ定数と伸びに正比例すると近似できる
ですね。
もう少し分解しますと、軸剛性kは以下のようになっています。
Eはヤング係数といって、物体の固さを表す値です。
Aは断面積、Lは部材長さ(基準長さ)です。
つまり断面積が大きくなると抵抗力が大きくなる一方、部材長さが長くなると抵抗力が小さくなります。
筋肉の物理的な特徴
筋肉にはゴムやバネに例えられますが、以下のように異なる点がいくつかあると思います。
- 収縮時にのみ力を発揮すること
- 微小な範囲でのみ成立すること
- 稼働域内で基準長さを変更可能であること
- 固さを調整可能であること
それぞれを詳細に見ていきましょう。
収縮時にのみ力を発揮
ゴムは押しつぶすとそれに反発するように力を発生させます。
しかし、筋肉は押しつぶしても反発することはありません。
筋肉は引っ張られて、それに抵抗する形で力を発生させます。
微小な範囲でのみ成立する
ミクロの視点で見ると、筋肉は筋繊維の集まりであり、さらに筋繊維は筋原線維の集まりであると言われています。この筋原線維は、ミオシンとアクチンと呼ばれるもので構成されています。
ミオシンとアクチンは微小な範囲で結合と解離を繰り返して、張力を発生させています。
つまり、バネやゴムのように伸ばしたら伸ばしただけ張力が発生するわけではなくて、ごく狭い範囲で張力が発揮されます。
可動域内で基準長さを変更可能
筋肉は伸ばしたら伸ばした位置、縮めたら縮めた位置をゼロ位置として、収縮動作ができるようです。もし基準長さLが固定されていたら、そこから縮めた位置では力を発揮できません。
また、伸ばしたら伸ばしただけ張力が発生することになります。しかし、実際にはそんなことはありません。
となると、筋肉は基準長さが変更できると考える方が良さそうです。確かにミクロの視点で見ると、ミオシンとアクチンの重なり程度は調整することができますし、
ミオシンの腕がアクチンに結合した瞬間から力が発生するわけですから、
マクロの視点で見るとあたかも基準長さが変化しているように見えることになるのかなと思います。
固さを調整可能
力の入れ方を調整することで、筋肉を固くすることも柔らかくすることもできます。つまり、上記でいうところの軸剛性kを変化させることができます。これもゴムとは異なる点です。
ミクロの視点で見ると、各筋節におけるミオシンとアクチンの結合程度でこの特徴を表現していることになるかと思います。
筋肉の簡単な物理モデル
ゴムと筋肉の物理モデルを整理すると以下のようになります。
違いを理解できるかと思います。
続きはこちら。このモデルを使って収縮様式を説明していきます。
筋肉に関して網羅的に理解したい場合は、石井先生の本をいくつか読むと良いと思います。

- 作者:石井 直方
- 発売日: 2008/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
また、筋節の動きについてはあまり理解していなくて今回調べたのですが、これが非常にわかりやすかったです。