スクワットではよく「膝が足先より前に出ないように」との指導を受けたり、筋トレサイトでも見ることがあるかと思います。
「膝関節中心のスクワットをするとせん断力が発生して怪我の元になります」といった内容もよく見受けられます。
これ、どういった状態か理解できますか?
個人的にはこれがどういった状況なのか理解がなかなか追いつきません。
膝が前にでるとどうしてだめなのか、経験則では理解できますが、理屈がよく分からないので気持ち悪いのです。
また、せん断力がどの部位でどう発生していて、なぜ悪いのかもよく分かりません。
そんな中、Twitterで以下のようなヒントを頂きました。
概ねその理解で問題ありません🙇♂️
— PhysioYusuke@筋トレ怪我ケガゼロプロジェクト (@physioyusuke) December 25, 2018
私が学ぶコンセプトは、障害の発生源はもちろんですがその発生源が生じた運動の問題に重きを置いています、人体を1つの構造体として捉える点では建築の知識は非常に役立つ知識ですね!
物理学の知識はまだまだ未熟な点がありますが何卒よろしくお願いします🙇♂️
どうも半月板にせん断力が加わることが問題のようです。
そこで、半月板にせん断力が作用するまでのシナリオを自分なりに考えてみました。
せん断力とは?
Wikipediaには「部材軸と垂直方向にずれる変形に抵抗する力をせん断力」とあります。
つまり、こういった力です。
ハサミで紙を切る時に利用している力がせん断力というと、イメージしやすいかもしれません。
膝関節の動きについて
膝には、脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節の2つがあります。
半月板は、脛骨大腿関節に存在します。
膝関節が屈曲していく際、大腿骨は転がり運動と滑り運動を組み合わせた動きをします。
このあたりの詳細は専門家のコラムをご覧頂くとより理解が深まります。
例えば以下です。
さて、この運動のなかで、どのように半月板にせん断力が作用するのでしょうか。
半月板にせん断力が作用する状態
実は転がり運動・滑り運動だけでは半月板に力が作用することはありません。
脛骨と大腿骨で圧縮力が作用することで初めて力が作用します。
簡単のため、転がり運動と滑り運動がそれぞれ独立で発生した場合を考えます。
転がり運動のみが発生した場合、半月板に作用する圧縮力の位置のみが変わります。
すべり運動のみが発生した場合、圧縮力の発生時には接触面に平行な方向に摩擦力が発生します。
どうやらこの摩擦力が半月板に影響して、せん断力が作用しているようです。
運動中に作用する摩擦力Fは、動摩擦係数μ'と圧縮力Nにより、以下のように求まります。
まとめ
まとめると、次のようになります。
- せん断力は大腿骨と脛骨に挟まれた、半月板に作用する。
- 脛骨大腿関節は屈曲・伸展時に転がり運動と滑り運動が発生する。
- 脛骨と大腿骨の間で圧縮力が作用している際には、滑り運動により摩擦力が発生する。
- 滑り運動により発生した摩擦力により、半月板にせん断力が作用する。
せん断力は摩擦力により発生するので、上記式より圧縮力が大きくなればなるほど、せん断力は大きくなります。
圧縮力が大きくなる状態とは、すなわち大腿四頭筋の張力が大きくなる時に一致します。
以降は次の記事でご紹介しようと思います。