前回からの続きです。
前回は「『膝で発生するせん断力』とは、どうも半月板の上を骨が滑る時に発生する摩擦がワルさをしているようだ」とまとめました。
摩擦は半月板に圧縮力(軸力)が作用しないと発生しない、とも書きました。
これですね。
今回は半月板に圧縮力(軸力)が発生するまでの流れを考えてみたいと思います。
毎度毎度恐縮ですが本記事では、膝に作用するせん断力が作用するまでの経緯を「個人的に」
理解するために考えた、力学的なアプローチを紹介しています。
物理的、生理学的な不正確さが多分に含まれている恐れがあります。
もちろん問題の指摘は歓迎しますが、その点ご注意の上読み進めていただけますと幸いです。
誰が力を発生させているのか?
当然のことながら、骨や半月板が能動的に力を発生させることはありません。
外から力が作用することによって、結果的に骨や軟骨に力が作用します。
そうしますと、膝関節をまたがっている筋肉が影響していると考えるのが自然かと思います。
膝関節の動きに寄与している筋肉は以下になります。
- 大腿四頭筋 (膝関節の進展)
- ハムストリングス (膝関節の屈曲)
- 腓腹筋 (膝関節の屈曲)
この中で唯一単関節筋を含んでいるのが大腿四頭筋で、大腿骨と半月板、脛骨上部に直接的に軸力を作用させます。
大腿四頭筋の張力が半月板への圧縮力になるまでのシナリオ
大腿四頭筋に張力が発生
まず大腿四頭筋に張力が発生します。
大腿四頭筋は膝蓋骨に付いており、さらに膝蓋靭帯で脛骨に付着しています。
膝蓋骨から大腿骨に、膝蓋靭帯から脛骨に力が作用
膝蓋骨と大腿骨は接触していることから、大腿四頭筋で発生した張力が膝蓋骨を経由して大腿骨に伝達します。
力は膝蓋骨を挟んで大腿骨側のベクトルと、脛骨側のベクトルの合成ベクトルです。
また膝蓋靭帯が脛骨に付着していることから、膝蓋靭帯で発生している張力が脛骨に伝達します。
大腿骨や脛骨に作用した力を分解
大腿骨や脛骨に作用した力は、半月板の軸方向(脛骨の軸方向と同じ)とそれ以外に分解することができます。
大腿骨側は大腿骨の軸方向にも力が作用します。
脛骨側は膝関節が伸展する方向に力が作用します。
大腿骨・脛骨から半月板に軸力が作用
大腿骨や脛骨に作用した力が、半月板に軸力として作用します。
以上が半月板に軸力が作用するまでの流れです。
半月板へ作用する軸力の変化について
膝関節の角度を変えると
膝関節の角度が変わると、大腿骨や脛骨に作用する力の向きが変化する他、半月板の向きも変化します。
ですので単純に膝関節の屈曲角度が大きくなると、半月板への軸力が大きくなるわけでもありません。
何かしらの変化はあるものと考えます。
大腿四頭筋の張力が大きくなると
大腿四頭筋の張力が大きくなると、当然のことながら半月板への軸力が大きくなります。