のんびり肉体改造ブログ

30代社会人のトレーニング記録と雑記

「ピーキングのためのテーパリング」を読みました

私がいつも拝見している河森先生が出版されている本を読みました。

こちらで簡単にご紹介しようと思います。

この本を読んだ理由

私は健康を第一の目的としてトレーニングをしているのですが、ある競技での成績アップを第二の目的としています。
春と秋に主な大会がありまして、毎週日曜開催で数週間続きます。


私は普通のサラリーマンですし、家族サービスの時間も大事にしたいと思っています。
ですので競技の練習を毎日できるるわけではなく、週に1回できれば良いほうです。
その他に週に3回ウエイトトレーニングを実施している状態です。


やはり参加している以上は良い成績を残したいものですが、なかなか思うようなパフォーマンスが出来ていないので、 何かヒントになることがあればと思ってこの本を読んでみました。

この分野に関する文献は少ない

河森先生がおっしゃるには、この分野に関する文献は非常に少ないということです。
本書の後ろに参考文献が掲載されていますが、確かに専門書にしては数が少ないような気がします。
素人なので何とも言えませんが、工学系の専門書に比べると断然に少ないです。


にも関わらず本書の内容は非常に体系化されています。
さらにそれぞれの内容が文献に基づいたものなのか、研究事例が少ないために先生の経験則なのかが明確に書かれています。


非常に丁寧に書かれているなと感じました。

フィットネス疲労理論

超回復理論と対比する形でフィットネス疲労理論が登場します。
超回復理論はハンス・セリエが提唱した汎適応症候群に基づいており、それが転じてパフォーマンスが向上する仕組みとして利用されています。


体力レベルやコンディションのことを「Preparedness」と呼びます。
簡単に言うと超回復理論は「Preparednessは、ストレスに対する適応反応における時間的な履歴」として表現されます。


一方で、フィットネス疲労理論では「PreparednessはFitnessとFatigueの差分である」としています。
その上で、「FitnessとFatigueは、ストレスに対する適応反応における時間的な履歴」とされています。


これまでは超回復理論を適用して、試合前に一度コンディションを落として回復させるのが常套手段となっていました。
これはPreparednessがストレスのパラメータでしか管理できないからです。


しかしフィットネス疲労理論を適用すると、PreparednessをFitnessとFatigueの2つのパラメータで管理できます。
このことから、より状況に応じて精緻にコンディション調整が可能となります。

変数化されたパラメータが少ない

ちょっとした個人的不満なのですが、定量化されたパラメータが少ないので、やや読みづらい文章となってます。
本書ではフィットネス疲労理論を適用して、PreparednessやFitness、Fatigueの経時的な変化を元にテーパリングのテクニックが解説されています。
ただ、これらが式化されていないことから理系人間にはやや読みづらいです。


おそらく各種文献の表現を尊重し、かつ多くの人に理解を得やすい表現を模索した結果だと思います。
ただ数学的モデルで検証した文献もあるとのことでしたので、適当な変数を与えるほうが、文字数が減って読みやすくなると感じました。

アスリートがピーキングするために

内容は非常に充実しており、概論も学べる上に実践編の中で多くの事例を取り扱っています。
また参考文献が提示されている上に、研究が少ない課題が文中で明示されていることから、今後はどんな研究に注目すべきなのかが分かるようになっています。


アスリートでなければ、これ1冊で最新のピーキング事情は十分キャッチアップできたと言えるのではないでしょうか?
後は自分なりにテーパリング・ピーキングの手法を、トライ&エラーで構築していくことが重要になるのだと思います。
(まあ、それが難しいのですが。。)


大事な試合でなんか上手くいかない人は是非ともお読みください。