前回、筋肉の剛性について考えました。
今回は2 3回にわけて、デッドリフト実施時に胴体に作用する力を通じて、剛性について考えようと思います。
(2019/05/08追記:すいません、2回で書ききれなかったので、3回に分けます。)
上図のように、具体に100kgのバーベルをリフトする直前について考えます。なおスクワットの時と同様に、ヒトの絵は日本人男性の平均的なプロポーションを参考にしており、概ねスケールです。
スケールで描くと、手と肩関節が鉛直に位置するのは意外と難しいことに気づきます。結局Mark Rippetoe氏の「Starting Strength」にあるように腕が多少の角度も持った形でセットされました。

- 作者: Mark Rippetoe,八百健吾
- 出版社/メーカー: 株式会社医学映像教育センター
- 発売日: 2019/04/05
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描いて見ると腕の角度が85度、胴体の角度が45度で描けましたのでこれで考えます。そうしますと100kgのうち、99.62kgが腕を通して肩関節に引張力として作用します。また、8.72kgがモーメントとして
作用して、広背筋などで抵抗する必要があります。今回は、実際に胴体に作用する99.62kgの方に着目します。
さて、肩関節に作用した力は胴体に対して角度を持っていますので、胴体に対して平行方向と直角方向に成分分解します。
そうしますと100kgのバーベルをリフトする際、胴体には76.31kgの軸方向の力と63.04kgのせん断方向の力が作用することになります。
このあと「Starting Strength」を始めとする一般的には教本では、軸方向の力は無視してせん断方向の力にだけ着目しているように見受けられます。また、胴体にはどのように力が
働いているかが不明です。つまり、こうなっています。
実際には腹圧を入れたり、背中をタイトにして、いわゆる吊り腰にならないように頑張るわけです。
しかしこの絵では胴体にどんな力が働いているか不明ですし、それらに対してどう抵抗すれば良いのかがわかりません。
そこで次の記事で構造力学を通して胴体にどのように力が作用しているか、剛性とはなぜ大事なのか考えようと思います。