こんにちは、きっちゃん(@I_am_Entraineer)です。
いきなり言うのも何ですが、私はベンチプレスが大の苦手で嫌いです。毎回毎回肩が痛くなって中断しますし、中々重量が伸びていかないこともあり、すっかりやらなくなりました。プレス種目はオーバーヘッドプレスだけで良いなと思っています。楽しいですし。あと加重腕立て伏せですね。
とはいえベンチプレスはトレーニーの間で人気種目ですし、厚い胸板は男らしさを強調します。取り入れている人も多いかと思います。
ベンチプレスはコンパウンド種目と呼ばれていて、全身の筋肉を使うと言われています。全身ということは、胸だけでなく足も使うのです。「レッグドライブ」と言われていて、足の力を伝達させるということです。
しかし、バーベルは腕で支えていて、肩甲骨が接触しているベンチシートで支えているわけです。バーベルの重さの大半は、ベンチシートに支えられていて、足なんて使う余地は一見なさそうです。実際パラアスリートは足を地面に付けずにベンチプレスをやります。一体「レッグドライブ」とは何なのでしょうか?よくよく考えてみると、何となくわかってきましたので、紹介したいと思います。
レッグドライブとブリッジ
レッグドライブとセットで捉えられるのがブリッジです。体を反らせて胸椎の伸展を促す動作のことですが、よく橋の構造に例えられます。専門用語で言うと、アーチ構造と言われています。以下は日本三大名橋のひとつであり、世界的にも珍しい木造アーチ橋である錦帯橋です。個人的にはとても好きな橋です。
(ぐるたび(https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_2000/)さんより抜粋)
アーチ橋は圧縮力により、はり部分から基礎へと荷重を伝達します。はり部分は中央部から端部までずっと圧縮です。ですので、基礎から反力をもらうことで形状が維持されています。基礎がなければ曲げた定規が元に戻るように、外側へとずれていきます。
(ぐるたび(https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_2000/)さんより抜粋・加工)
もう少し漫画っぽく描くと、こんな感じです。(しつこい)
これをベンチプレスに当てはめると、以下のようになっています。
ベンチプレスでも体には圧縮力が作用しています。この圧縮力の伝達には骨が使われます。筋肉は、上手く圧縮力が伝達できるように、足関節・膝関節・股関節などを固定するために使われます。以下のような仕組みを想像してもらえると、わかりやすいかと思います。
ベンチプレスでは、足と肩甲骨を支点にしてアーチ構造を形成していることがわかりました。しかし、これだけ見ているとやはりバーベルを支えている腕には、直接的に関係していないように見えます。では肩甲骨周りについて詳しく見ていきましょう。
ブリッジがベンチプレスの挙上に影響する理屈
その1
詳細に見ると以下のようになっています。
胸椎部分はアーチ構造の影響により、頭側にずれるような力が作用しています。一方で肩甲骨にはアーチの影響と、バーベルの重量で鉛直力が作用して、これにより摩擦力が発生します。摩擦力により肩甲骨の位置が保持されて、かつ胸椎部が頭側へと移動しようとするので、肩甲骨の位置は下制した場所に保持されます。肩甲骨位置の固定度が増す点が、ベンチプレスでブリッジを組む1つ目の利点と考えます。
そう考えると「シャツが滑にくい素材であること」は、ブリッジの効果を得るためにとても大事なことだと思います。また、摩擦力の大きさはバーベルの重量に影響されますので、重量が増えてくると、肩甲骨の位置固定の観点ではブリッジは不要になるかもしれません。
その2
今度はバーベルを下げてみましょう。
バーベルを下げていくと上腕骨が下がっていくことから、大胸筋には引き伸ばされ、引張力が発生します。この際、胸椎が伸展していると、起始・停止位置の物理的な距離が離れることから、さらに引き伸ばされて、大胸筋をより使いやすい状態が形成されます。大胸筋の起始・停止位置の距離の増加が、ベンチプレスでブリッジを組む2つ目の利点と考えます。
まとめ
今回はベンチプレスのレッグドライブ・ブリッジについて考えました。レッグドライブといっても足で挙げるわけではなくて、補助的に大胸筋のメカニカルテンションを増大しやすくするのがポイントだと思います。つまり上記の考え方からすると、レッグドライブで如何に大胸筋が伸展しやすい環境を作ったとしても、大胸筋そのものの筋力がなければ効果が得られません。これは、例えばスクワットにおけるヒップドライブとは考え方から違うと思います。
また、もう少し定量的な話ができると良いのですが、ベンチプレスに必要な数値情報が出回っておらず、中々難しいところがありました。これについてはもう少し良いデータが集められたら考え直そうと思います。
ベンチプレスの主導的な筋肉といえば大胸筋と、もう一つは三頭筋です。三頭筋の使われ方については、また別の機会に紹介できたらなと思います。