こんにちは、きっちゃん(@I_am_Entraineer)です。
お盆期間中も仕事がありバタバタしていましたが、先週末はゆっくり過ごしていました。私の場合は休むときは子供より早く風呂に入り、子供より早く寝てしまうので妻から叱られてしまいます。いっぱい寝ると気持ちいいですね。心がさっぱりして前向きになれます。
さて、昨日はたまたまこの記事を拝見して、さらにtwitterでお世話になっている信田さんから「コンカッション」という映画を紹介頂きまして、早速観ることにしました。コンカッションとは「脳震盪」のことです。
ウィル・スミス主演のこの映画、コンカッションにNFLの大スター、マイクウェブスターという選手の例が出てくるのですが…あの感じ僕です。実際にあんな感じです。多分衝撃だと思いますが、まさにあれです。ネトフリにあるのでぜひ。https://t.co/QwjYpxswjO pic.twitter.com/NGpVfSxwtA
— 信田泰宏@パワーリフター (@yasuhiroshida) 2020年8月16日
Netflixだと無料で観られるようですが、私はAmazonプライムで視聴しました。 簡単な感想文的なものを残しておこうと思います。
脳震盪・CTEについて
コンカッションはアメリカンフットボールにまつわる映画なのですが、最近コンタクトスポーツ全般で問題になっている「脳へのダメージ」がテーマになっています。スポーツの現場で遭遇する脳のトラブルとしては、「脳震盪」が多いようですが、その他にも大小の「脳へのダメージ」が長年蓄積されることで、引退後に「CTE(慢性外傷性脳症)」が発症するとのことです。特に若年時に受傷すると深刻になりやすいようなので、子供を持つ親としては知識を持っておきたいところです。
(スポーツではありませんが、躾で頭や顔を叩いたりすることも、これを踏まえるとかなり危険な行為と言えると思います。)
例えばサッカーにおいても欧米では若年層でのヘディングに制限を設けているようです。
脳震盪に関するガイドラインは、素人目にはラグビーのサイトが最も充実しているように感じました。
https://www.niigatashi-ishikai.or.jp/medical/news/pdf/20121116/concussion_guidelines.pdf
アメリカンフットボールに関してはこちらの記事を読んでみました。
映画を観て
まず映画を観ることで脳震盪の重大さを知ることができて、関連知識を得ることができて良かったです。深い理解は難しくても、知っているのと知らないのかでは大きな違いです。この映画でも、選手が次々と発症するにも関わらず、周囲の理解が得られない様子が描かれていました。見た目は健全なのに行動が変われば、その人のパーソナリティに変化があったと捉えてしまい、どうしても脳の異常を疑う発想には至らないと思います。しかし、こういった知識を持った上で事態に遭遇すれば、対処方法は変わります。知るという観点で、映画というメディアになっていることは本当に素晴らしいと思いました。
また、CTEの認否にまつわる論争は、日本の学生野球などで問題になっている、投球数の問題にも似ていると感じました。今では投球過多がプレイヤーの健康を損なう原因であることは常識になりつつあります。(以前に書いた記事でも、靭帯は消耗品だと紹介しました。) しかしながら「個人差が大きい」「フォームが良ければ壊れない」などと詭弁を使い、「夢を見させたい」「完全燃焼させたい」と言いながら、プレイヤーの健康より興行を優先する点はそっくりだと思います。CTEは生き方により直結する疾患にも関わらず、それでも認められるまでに膨大な時間がかかっているので、日本で投球制限が常識になるのはいつだろうと少し暗い気持ちになりました。
直接的かつ暴力的なものに熱狂する点は、例のリアリティ番組出演者の自殺問題にも通じるように感じました。自分は安全な位置にいながら激しいぶつかりを観て興奮する様は、ローマ時代の闘技場の構図とそう変わりありません。しかし、そんなことを言いながら私もラグビーW杯を楽しんだ一人ですし、激しいぶつかりに興奮した一人です。あの激しさがないラグビーは本当に面白いでしょうか。スポーツとして成立させるには、難しいこと、困難なことに挑戦していく競技であることが必要だと思いますが、激しくないラグビーは、スポーツとして成立するのでしょうか。私には何の答えも出せませんでした。
安全とスポーツの面白さを両立させるのは本当に難しいですが、「スポーツで人生を失うような病気や怪我だけは回避すること」は、共有できる目標地点だと思います。その目標に向かって継続してあり方を模索する必要があるし、それはプレイヤーだけでなく、ファンを含む周辺関係者も協働すべきなんだろうと思いました。
いずれにせよ、観ることで色々考えさせられる良い映画でした。